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法務相談の「入り口」をAIで変えられるか?事業部のセルフチェックを検証|法務AI研究所 活動報告

契約書レビューをはじめとする法務相談では、「そもそも法務に相談すべき案件なのか分からない」「依頼内容と契約書に書かれている内容が一致していない」といった、受付前後のコミュニケーションに工数がかかるケースがあります。

こうした課題に対して、AIを活用することで、事業部と法務の双方の負担を減らすことはできるのでしょうか。今回の法務AI研究所では、法務有識者にも参加いただき、法務相談の受付を効率化する2つの仕組みを紹介しました。

1つは、事業部が法務へ相談すべきかをAIが判定するセルフ診断チャットボット。もう1つは、事業部からの依頼内容と契約書の内容をAIが比較し、食い違いを検知する仕組みです。

試作した仕組みをもとに、実際に企業法務に携わる外部フェローの皆さまと、実務で活用するための課題や運用方法について議論しました。

法務AI研究所_0820

法務に相談すべきかをAIがセルフ診断

最初に紹介されたのは、事業部から寄せられる「これは法務に相談した方がいいですか?」という問い合わせをAIで一次対応する仕組みです。事業部が相談内容を入力すると、AIが不足している情報を追加でヒアリング。その内容をあらかじめ設定した基準と照らし合わせ、法務相談の要否を判定します。

今回の試作では、「法務相談不要」「法務相談が必要」「法務相談は不要だがセルフチェックなどの対応が必要」「AIでは判断できないため法務へ相談」の4段階に分類しました。判断に迷うケースについてはAIだけで完結させず、法務へエスカレーションする設計です。

こうした仕組みを活用できれば、法務にとっては不要な問い合わせを減らせる一方、事業部にとっても「何を法務へ相談すればよいのか」を判断しやすくなる可能性があります。

一方で、AIが本来相談すべき案件を「相談不要」と誤判定してしまうリスクもあります。そのため、判定精度を高めるだけでなく、誤判定が起こり得ることを前提とした運用設計も必要です。

依頼内容と契約書の「食い違い」もAIで検知

もう1つ紹介されたのが、事業部から法務へ伝えられた依頼内容と、実際の契約書に記載されている内容をAIで比較する仕組みです。

検証では、依頼内容との食い違いだけでなく、必要な契約書が添付されていないケースや、契約書内の甲乙が逆になっているケースなども検知できました。法務側には「契約内容を把握したうえで依頼してほしい」という思いがある一方、事業部側にとっては、契約書を詳細に読み込むこと自体が大きな負担になります。

事業部の認識と契約書の内容が一致しているかをAIが事前に確認することで、法務が受付後に前提条件を確認し直す手間を減らせる可能性があります。

「AIを作る」だけでなく、使われる導線まで設計する

研究会で大きなテーマとなったのが、こうした仕組みを「どうすれば事業部に実際に使ってもらえるのか」という点です。専用のAIツールを用意しても、法務へ相談する前にわざわざ別の画面を開いてチェックする必要があれば、利用が定着しない可能性があります。

また、セルフチェックを導入しても、利用者によってAIの使い方には差が生じます。契約書だけをAIへ渡してしまったり、AIから大量に出された指摘をそのまま法務へ転送したりするケースもあるため、必要な取引情報を自然に入力できるインターフェースを設計することも重要です。

さらに議論では、法務相談の「入り口」だけですべてのリスクを防ぐのではなく、契約締結時など後工程にも法務が介在するチェックポイントを設けることで、事業部のスピード感を損なわずにAI活用を進められるのではないかという考えも挙がりました。事業部が動きやすいよう入り口の負担を軽くしながら、必要な案件をどこかの工程で確実に拾えるようにする。AIを活用した法務相談では、こうした業務全体での「ガードレール」の設計も重要になりそうです。

今後は、今回寄せられた意見をもとに、日常的に利用するコミュニケーションツールとの連携なども含め、より実務で利用しやすい仕組みへブラッシュアップしていく予定です。

法務AI研究所では、今回取り上げた研究テーマについて、今後も検証を重ねながら、セミナーやレポートなどを通じて発信していきます。

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